かつての、いわゆる「砂糖地獄」で苦しんだ島民を元気づけたのが「闘牛」であり、本番で初めて対戦する相手と全力を尽くして闘う牛の姿に励まされ、先祖は厳しい時代を乗り越えてきた。闘牛を飼育できることは家族繁栄のしるしであるため「なくさみ」と呼ばれ、先祖に対する感謝を表すものとして引き継がれてきた歴史がある。そのような伝統を持つ闘牛のパワーと情熱で、島を活気づけたいものだ。

いよいよ、待ちに待ったゴールデンウイーク闘牛大会が、徳之島町の伊藤観光ドームで４月29日に開幕する。徳之島闘牛連合会の規約を改定に伴い、昨年５月の大会から全島一と軽量級、中量級とミニ軽量級のタイトル戦がそれぞれセットで、年3回島内3町闘牛協会の主催で開かれるようになり、年間3回ずつ確実に全タイトル戦が行われてきた。

各クラスのチャンピオン牛の牛主にとっては、飼育者としての実力の見せどころであり、それぞれの牛主にとっては目標が明確になり、闘牛飼育の励みにもつながっている。また、闘牛ファンにとっては、どの牛が優勝旗に挑戦するようになるかを占いながら各大会を観戦するなどの楽しみが増えた。今後も牛主の皆さんと闘牛連合会、各町闘牛協会、闘牛ファンの理解と協力で、徳之島の闘牛がより一層発展するよう期待したい。

昨年のゴールデンウイークは、全大会が雨に見舞われるという近年にない悪天候となったことを今回の大会主催者は踏まえ、全５大会が伊藤観光ドームで開催されることになった。各大会では、軽量から大型の若手からベテラン牛まで、ファン期待の好取り組みがそろい踏みしている。真夏のような暑さでスタミナの消耗が早くなるため、ペース配分の上手い牛が有利と言われ、当日の天候も勝敗に影響しそうだ。闘牛ならではの醍醐味を堪能できる熱闘の５日間となるのは間違いなく、是非とも大勢の闘牛ファンの皆様に闘牛場へ足を運んでほしい。