闘牛の解説
闘牛の基本技
【闘牛の基本技】
牛は入場すると、まず前足で土をかきあげ、鼻を鳴らし、迫り来る決戦に闘争心をかきたてる。勢子は互いの牛を引き寄せ、牛の頭を相互に向き合わせ、いよいよ戦闘開始。相手の出方をうかがい、隙あれば、得意技で勝負を決める。闘牛場に入っても後ずさりして相手に向かわない牛は、相手牛の不戦勝となる。牛の武器は二つの角を使って繰り出される技であり、開き具合・大きさなど自分の角の特徴を最大限に生かす牛が強さを発揮する。
闘牛の三大基本技は「掛け」「突き」「腹取り」である。

〈ツノ掛け〉
この技を持たなければ横綱や大関を張る牛にはなれない、といわれる闘牛の「基本技」。これを得意とする牛は、重心を低くしてテコの原理を利用し、ツノ掛けに入ることによって力が倍加される。ツノ掛けは攻撃である一方、防御にも役立つ。掛けられた側の牛は体力を消耗し、攻撃を封じられるため苦戦する。ツノ掛けの上手な牛の角は太くて長い。また、体も大きい牛が多い。
〈突き〉
突きは牛の技の中でも特別スリルのある「技」である。徳之島では突き技を「マキ突き」、それと混同されやすい角技を「割り」と区別している。
「マキ突き」は、明らかに角先で相手牛の眉間や顔面を突く。この技を出す牛は必ず相手牛との至近距離から一定の距離を計り、全身のバネを利用してタイミングよく仕掛ける。
一方「割り」は、角を交えながら素早いテンポで相手の角から顔面や横面を撲打する。これらの技は連続して繰り出す牛と、時おり出す牛がいる。それまで劣勢だった牛が、試合の後半にこの技で逆転勝利を手中にすることもある。突きを得意とする牛の角は、天を向いているような上向きで長く、俗に「カマヅノ」といわれる。

〈腹取り(速攻)〉
この技を使う牛は、筋肉質で胴が長く、体高が低い小型の牛に多く、動作も俊敏で、相手牛のわずかな隙をとらえ、下から相手牛の前をすくい上げ、バランスを崩して攻め立てる戦法である。腹取りに入る型には次のような攻め型がある。
?ツノ掛けから入る。?鼻ですくい上げる。 ?相手の攻撃を逆に切り返す。
腹取りを得意とする牛の角の向きは、いずれも「カブラ」(下向きの角)や「ガン」(短く内側に湾曲した角)で、短い角の牛が多い。


参考文献 :松田幸治著「徳之島の闘牛」南國出版、小林照幸著「闘牛の島」新潮社

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