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=エッセー=
一言では語れない島の魅力
「大和人(やまとんちゅ)が見た島人(しまんちゅ)
暮らして分かる疑問と素晴らしさ
地元ミニコミ新聞「ミニミニかわらばん」に大和凡人(ヤマトボント)というペンネームで連載したエッセィです。御感想などいただければ幸いです。

その11の上「島口と共通語」

頭の中で悩んでいても仕方がない、郷に入らば郷に従えということわざがあるが、その信念で少しでも島口を覚えようと耳をそば立ててはみるが、単語自体が聞いたこともないものばかり。その上、同じ島でも各町や集落によっても言葉が違うというのだから言葉の壁は益々険しくなる。

また、同じ言葉でも意味や用法が違うものもある。住み始めた頃、「食べたら茶わんをなおしておいて」と言われ、どこか欠けているところがあって直せということなのかと思ったり、役所で事務手続きをした際に「……の分は返しまい」と言われ、「返しなさい」という意味か「返します」という意味なのか分からず聞き返したこともある。

1月に妹の結婚式があり、私の実家へ家内と帰省することになった。東北弁といっても語尾やイントネーションが違う程度だから、言葉の心配はいらないと考えていた。ところが、家族と話をしていると妻は会話に入ってこない、その上、祖母に「こごんところは、おいしいがら食べらい」と言われ困った顔をしている、私は「おいしいから食べなさいと言っているんだよ」と解説してあげた。その時は、なにも特別な事を言っているわけでもないのに、なぜ解らないのだろうかと思った。

帰ってきて、島口の会話を聞いているとはっきり解るところと、聞き取ることさえできない単語があると気付いた。少しは共通の言葉が入っていても前後の言葉がわからないと全体的に理解不可能となってしまう。また、話す方は普通に話しているつもりでも、知らない人が聞くと方言にしか聞こえないということもある。

ある時、義父の先輩が「島の言葉には、万葉集にあるような言葉がそのまま残って代々伝わっているのがたくさんある。」と私に説明してくれた。それを聞いて思い出したことがあった。東北大学の教授の研究によると、気仙語といわれる私の故郷気仙沼地方の方言には、平安時代の言葉、特にイントネーションと語尾にその影響が残っているとのこと。

そういえば島口では語尾に「…チョ」と付くが、東北弁でも「…チャ」と語尾に付くことが多い。多少言葉の抑揚は異なるが似たところがあることに気付き、とても興味をそそられ、親しみを感じるとともに、何も知らない時よりは大分距離が近くなった気がした。

それぞれの地域独特の言葉である方言は、一つの文化として大事にすべきものと思う。一方では、他の地域から来た者が、知らない言葉の中に一人いると非常に疎外感を受けるものである。言葉というのは重要なコミュニケーションの手段であるから、相手と共通の土俵に立って会話ができるよう、言葉を使い分けることも必要なのではないだろうか。


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