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=エッセー=
一言では語れない島の魅力
「大和人(やまとんちゅ)が見た島人(しまんちゅ)
暮らして分かる疑問と素晴らしさ
地元ミニコミ新聞「ミニミニかわらばん」に大和凡人(ヤマトボント)というペンネームで連載したエッセィです。御感想などいただければ幸いです。

その12「島料理」

前回、食生活の面では「見たことも口にしたこともない料理をまのあたりにしながらも、今では自ら好んで食べることもできるようになったと」述べたが、島に来た頃は何の抵抗もなかったわけではない。“トンコツ”を初めて出されたときは、そのグロテスクさと油っこさに、「これを食べたら血管がつまるのではないか」と思い、どうしようかと私の方が脂汗をかいたほどある。初対面の料理と接した時は「食わず嫌い」という言葉があるが、せっかく出された物に箸をつけないわけにもいかないだろうという気持ちがある。自分自身を叱咤激励しながら口に入れ、食べれないことはないと実感し、どうにか克服することができたのである。

誰しも、子供の頃から好き嫌いがなかった人は、ほとんどいないのではないだろうか。私も子供の頃は、プリンとピーマンが嫌いだった。特にプリンは、小学校低学年の給食の時間にクラスメイトが吐くのを目の前で見てしまい、それ以来とても食べる気にはならなかった。しかし体育の時間では、「前えならへ」の合図がかけられると両手を腰に当てるか、あるいは、その一人か二人後ろで両手を前にあげることしかなかった私にとっては、「好き嫌いがあると大きくなれないよ」という言葉にとても説得力があった。両親や祖母のその言葉を信じて、「何でも食べるようにしますので長身にして下さい」と星空に願ったのである。

プリンは給食に度々出てくるものであり、女の子が好きこのんで食べるものでもある。ひそかに思いを寄せる子もプリンがとても好きだったので、目をつぶって飲み込むことを繰り返しながら、どうにか食べられるようになった。ピーマンは、独特の苦みにとても抵抗があったが、大好きな焼きそばには必ずピーマンが入っており、男としてはそれだけを横にどけて食べるのも恥ずかしいものと思い、焼きそばの麺に包んで口に入れることによって食べられるようになった。

そのように、不純な動機と涙ぐましい努力によって好き嫌いを克服した私であったが、「前えならへ」合図が掛かっても、前から三人以上後ろで両手をあげることはなく、大人の言うことをそのまま信じてはいけないと身にしみたのである。島に来た当初より10数キロ体重が増えたが、太ったのは島の生活に合っているという面があるとともに、根本的に体質が違うのではないかと思う。酒に強い人は、血液中のアルコール濃度があまり高くならないよう分解するのが早く、それは遺伝の影響も多いそうである。

ニガウリやトウガン等の野菜も食べるようにしているが、体重を落とすのはその何倍も努力が必要なようである。多少言い訳もあるが、魚料理の多い港町で暮らしてきた者と、島の食生活で育ってきた者とを比べると脂肪の分解能力に差があり、その分が体重に反映しているのではないかと思うのだがどうであろうか。


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