徳之島メビウスi
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=エッセー=
一言では語れない島の魅力
「大和人(やまとんちゅ)が見た島人(しまんちゅ)
暮らして分かる疑問と素晴らしさ
地元ミニコミ新聞「ミニミニかわらばん」に大和凡人(ヤマトボント)というペンネームで連載したエッセィです。御感想などいただければ幸いです。

その13「島料理」

朝晩は多少し冷え込むが、風がとてもすがすがしく感じられ、空を見上げると雲が高いところにあり、秋らしくなったということを実感できるこの頃である。だが、何か物足りない?ふと外を眺めてみると、井之川岳が深い緑色を蓄えたままである。“秋”といえば“食欲・スポーツ・読書”と共に欠かせないのが“紅葉”と思っていたのだが、そのような常識は、亜熱帯気候に属するこの地域には通用しないようである。舞い散る落葉で「冬が近づいてきたな」ということを感じ、ちょっともの悲しい気持になる、魚座でロマンチストの私としては少々残念な気持がする。

多少自慢話になるが、私の故郷では日本列島を北上し油の乗りきったサンマやカツオが毎日のように水揚げされ、全国でも3本の指に入る漁獲量があり、カキも養殖技術の成果で広島に次ぐ出荷量をほこる。おかげで海からの恵みとして秋の味というのを堪能できたのだが、塩焼きや刺身、汁物、酢の物として毎晩のように食卓で面会することになり、見るのもイヤになるほどであった。

「肉が食べたい」とダダをこね、次の晩にはハンバーグがおかずとなって喜んで食べたら、何にか味が違う…おかしいと思い台所を見てみたら、すり身状にされネギなどの材料とミックスされていたのは紛れもないサンマであった。いくら豊漁で浜値が安いからといって、そこまでして魚を食べさせたいのかと憤慨したが、魚類には脳の働きを高めるといわれるDHAが多く含まれているそうで、両親の思いやりに今では感謝している次第である。蛇足だが、捕れたての生のサンマが入ると刺身として酢醤油で食べることができる。流通しているものは一旦冷凍されたものが殆どなので、手に入りにくく、これが珍味というか旬の味がする。

東北地方より北の方では既に冬支度を始めているそうだから、秋めいてきてもセーターやコートがいらない、冬といっても雪が降るわけでもない、うらやましい限りの気候であると思われる。真夏を除けば“食欲・スポーツ・読書”に、年を通じて適していると言えるのではないだろうか。島で生活するまでの経験では、手足が凍え体が冷えるこれからの時期は、スポーツをするのにも体があたたまるまで時間がかかり、勉強をするのにも、手をこたつやストーブ等で温めながらしないと字も書きにくく、非常に能率が落ちる時期であった。利点を上げるとしたら、冬の寒い時、特に雪などが降り積もった方が、熱い鍋物がおいしく、スキーが楽しめることぐらいであろうか

ここに来て実感したのは、子供から大人まで結構スポーツが盛んで、子供に対する教育も熱心なことである。学校のグランドでもナイター設備などが整えられているところが多く見かけられる。気候の面と共に、設備の面でも人口比率から見たら結構充実している方ではないだろうか。もっと活用すべきと思われるのだが、具体的には次号で述べたい。


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