=エッセー= |
一言では語れない島の魅力! |
「大和人(やまとんちゅ)が見た島人(しまんちゅ)」 |
暮らして分かる疑問と素晴らしさ |
地元ミニコミ新聞「ミニミニかわらばん」に大和凡人(ヤマトボント)というペンネームで連載したエッセィです。御感想などいただければ幸いです。 |
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その15「結(ユイ)の島」
前回は、スポーツに対する取り組みの熱心さに感心したこと、恵まれている温暖な気候と設備を、もっと活用することができるのではないかと述べた。それは、スポーツをすることによる効果がはっきりと表れるのが、青少年の育成と思われるからである。私が驚いたのは、昨年の運動会ではビリを争っていた義妹が、なんと今年は短距離走で1位となったことである。本人は意識していないようであるが、今年からスポーツ少年団に加入し、週3回の練習を行なっている成果ではないだろうか。また、身の回りのことはおろか、家のことなど手伝いもしなかったが、最近では掃除や家事を喜んでするようになり(?)、殆ど遅刻もしないで通学し(遅刻しないのが当たり前だが、島時間というのがあるそうなので…)、少しは成長しているのではないかと感じられる
これは、大人にとっても共通する点があるのではないだろうか。私も、スポーツチームのメンバーに入れて頂いたお陰で、島の生活にも早くなじむことが出来たのではないかと本当に感謝している。縁あって経験を生かせる仕事に就くことが出来たが、職場の先輩や同僚という仲間はできても、社外の友人というのは簡単にできない。道端で会った人に、「僕と友達になって下さい」などと言ったら、何かの勧誘か頭がおかしいのではないかと思われるであろう。
義兄に誘われて参加し、数年ぶりに運動をすることになったが、勤務先・職業・年令もバラバラのメンバーで構成されていることが予想外であった。それでも、チームワークがなかなか良く、試合毎に各人が持味を発揮して好成績を納めている。特に感心したのは、このチーム独特のことかどうかわからないが、反省会(飲み会)で一口乾杯というのを行い、個人々が自己紹介をしたり感想を述べたりすることである。これにはそれぞれの個性や性格が反映され、とても打ち解けやすくなると感じられた。
私が在京中勤務していた会社でも、野球やサッカー・ラグビーなどのスポーツチームがあった。しかし、仕事を離れてまで上司や同僚と付き合うのは、義務感が強くなじみにくかった気がする。また、そのような交流があっても、本音を言い自分をさらけ出すのではなく、建て前での付き合いではなかったかと思う。
趣味を持たず、家庭を顧みず、いろいろな事を犠牲にして、がむしゃらに仕事をしてきた先輩方のお陰で、日本の高度経済成長が成り立ってきたことは確かである。その一方で定年退職後は夫婦間の意識の不一致が表面化し、それが離婚にまでつながるなど社会問題化している。仕事はもちろんキチンとやり遂げると共に、スポーツや文化活動を通じて、家族や友人の絆も大切にしていける社会を築くことが、経済成長を追い掛けることよりも大切なのではないだろうか。
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