徳之島メビウスi
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=エッセー=
一言では語れない島の魅力
「大和人(やまとんちゅ)が見た島人(しまんちゅ)
暮らして分かる疑問と素晴らしさ
地元ミニコミ新聞「ミニミニかわらばん」に大和凡人(ヤマトボント)というペンネームで連載したエッセィです。御感想などいただければ幸いです。

その16「楽しく酒を飲もう」

師走となり、寒さも少しずつ厳しくなってきている。亜熱帯気候のこの島でも、冬が近付いていることを実感する今日この頃である。忘年会シーズンであるが、ビールはのみならず、ウイスキーでも焼酎でもお酌をする習慣に驚いたことは以前にも述べた。その際には、アルコールが入るとそれを口実に、女の子にチョッカイを出している程度にしか思っていなかったことがある。それとは、チークダンスのことである。

私の出身地が、シャイな人が多い東北のせいなのか、故郷ではそれを見たような覚えがない(18歳までしかいなかったのだから、当然飲み屋に行くこともないはずなので、見たことがないとしておく)。9年半の都会生活でも、パーティやディスコ、クラブなどでのチークタイムでしか見掛けたことがない。また、音楽もそれに合わせた曲が流れていたはずである。それ以外では、“メリージェン”が18番という会社の先輩がいて、その歌に合わせて、チークタイムになったという経験があるぐらいである。それ以来チークダンスを見ると、独特の踊りを交えた“メリージェン”を思い出すので、あまり意識しないようにしていた。

陽気な南国特有といえるのか、地元の民謡でも、楽しく明るく歌って踊るものがあるせいか、恥じらいなど一つも見せず踊れることは、立派なことと言えるかもしれない。しかしながら、スローテンポでムードのある曲に合わせて一緒に踊って下さいと頼み、女性をエスコートするのならそれほど違和感もない。驚いたのは、演歌だろうがなんだろが曲に関係なく、ひるむことなく誘い、踊っているのか、女性を締め付けているのかわからないという姿である。私も最初は、そのような人もたまにはいるだろうと思って見過ごしていたが、若い人からご年配の方々まで幅広い層に、「徳之島チーク」とでも呼べるチークダンスをする人達が存在していることに最近気付いたのである。

酒を飲むにしても、都会では目的に合わせて店を選べるし、店側もタイプを変えることにより客を選別でき、店同志の住み分けがなされている面もある。しかし、地方都市ではそうもいかないという事情もあるのではないだろうか。女性に言わせれば男中心の考え方だと怒られそうである。年末になると、よく祖母に「終わり良ければ、全て吉(良し)」といわれた、楽しく飲むのが良い酒の飲み方であるのは確かなので、「節度を守って楽しいお酒、明るい忘年会」といきたいところである。


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