「喜念王道 康貴大力」は、2009年5月大会に19分余りで「轟木青年団 マー大将」に勝利しデビュー戦を飾った。11年6月大会では、体重で上回る「戦闘匠竜士号」の重い押し込みに苦しめられたものの11分余りで勝ち星をもぎ取り、中量級チャレンジャー候補として名乗りを上げた。
同年10月の中量級優勝旗争奪戦では、チャンピオン「亀山工業若力」に対し序盤から果敢に前に出て攻め続け悲願の優勝旗を獲得。12年1月の防衛戦では、6連勝中のベテラン「誠龍輝」を退け初防衛に成功し、同年5月大会では「白宝」を6分38秒で退け2度目のタイトル防衛を果たしたが、さらなる高みを目指して中量級優勝旗を返納した。
本年5月大会の千秋楽を飾った全島一横綱決定戦で「天一」に勝利し、栄えある全島一優勝旗を奪取、今回大会で初防衛に挑む。
対する「ぜんこう建設天龍王」は、10年1月大会のデビュー戦が不戦勝。翌年10月の中量級・ミニ軽量級大会で、沖縄から移籍してきたベテラン牛「狙琉邪」に10分54秒で勝利し2連勝とした。
そして今年1月、全島一優勝旗争奪戦において不動の横綱「基山大宝」に挑戦。不利と言われた下馬評を覆し、キャリアの差を物ともしない怒涛の攻めでチャンピオンを苦しめた対戦は、闘牛ファンの記憶にも新しいはずだ。応援団の期待は非常に高く、このチャンスを生かして悲願の王座獲得を目指す。
中量級から全島一へと修羅場をくぐり抜けてきただけに、キャリアの面では康貴大力が有利と言え、その差を体格面で上回るぜんこう建設天龍王がどれだけ埋めることができるかにかかっている。
これまでの対戦から、スロースターターと見られる康貴大力が全開になる前に決着を付けたい、ぜんこう建設天龍王。序盤からツキ・ワリ技を交えて攻勢に出て、チャンピオンを柵際まで押し込み、間髪をいれずに腹取り速攻を見舞いたい。
「そうはさせじ」と柵際で巧みに回り込みながら、相手のスタミナを徐々に奪って行けばチャンピオン康貴大力にとっては“願ったりかなったり”だ。横腹を取られる紙一重のところで交わし続ければ、チャレンジャーに焦りが生じ術中にはめることができる。
10分以内ならぜんこう建設天龍王。15分を上回り20分程度なら康貴大力が有利な展開か。1トンを上回る大型牛の激突で場内は興奮のるつぼとなるのは間違いない。優勝旗を手に勝利の舞を披露できるのはどちらか。
|