「富士皇」は、2007年6月30日大会で「ちょっとだけパンダ」に44秒で勝利しデビュー戦を飾ると、翌年の5月4日大会で「荒蜂」と対戦、若手有望牛対決を11分31秒で制し敢闘賞を受賞。09年1月2日大会は「桜虎」に36秒で勝ち「南郷杯優勝旗」を獲得し、10年1月3日大会では18分53秒で「名古光一号」を退けタイトルを防衛した。
満を持して11年1月1日大会で「ミニ軽量級優勝旗」に挑戦し、「突撃TSチワワ」と18分29秒に渡る激闘の末にミニ軽量級王座に着いたが、諸事情で同優勝旗を返納。同年8月13日大会で、27分20秒という長期戦の末に「零次パンダ」に惜敗し、初黒星を喫した。1年余りの休養を経た本年8月12日大会で「信千代」に8分15秒で勝利し、復帰戦を飾った。6勝1敗の戦歴を誇り、ガン角を生かした突き技で攻め、角カケで相手の技を防ぐ攻守のバランスの良さが抜群の人気実力牛だ。
対する「48年生杏珠小鉄」も徳之島ではお馴染みのベテラン実力牛だ。「池田小鉄」としてデビューし3連勝。軽量級で活躍した「順子花形」や「桜大力」などと対戦後、沖縄に移籍した。沖縄場所では、同一牛とのリベンジマッチなどを含め10回ほどの大会に出場し、再び徳之島へトレードされた。
11年5月大会で、「コウメ小鉄」とのベテラン対決を13分51秒で制し健在ぶりを見せつけると、本年1月1日大会に若手で勢いに乗る「Mr.剛力」と激突。善戦及ばず10分41秒で敗れ、現在のオーナーがトレード。5月5日の大会で「まみちゃん号」に12分21秒で勝利したが、8月14日大会で「天城同志会天心モア」と20分38秒の長期戦の末に惜敗したのは、闘牛ファンの記憶にも新しいはずだ。小型牛ながら抜群の闘争心を持ち、通算で14勝6敗の戦歴を誇る。
富士皇はとしては序盤、接近戦でツキ技やワリ技を顔面や角の根元に見舞いダメージを与え、敵のスタミナを奪いたい。相手の下角を取り、牛の弱点でもある角の根元を傷め続ければ勝機が見えてくる。
一方の48年生杏珠小鉄は、眉間ワリで必勝パターンに持ち込もうとするものと思われる。頭を低い位置に保ち角を敵に向け続ければ、前に出ようとする相手が顔面や首筋に傷を負う。焦りが生じたところですかさず腹取り速攻を見舞い、勝負ありとしたいはずだ。
武器である角を有効に生かしたツキ、ワリ技を得意とする両牛だけに、互いに鮮血を帯びての熱闘が見込まれる。顔面を真っ赤に染めながらの激しい攻防に、場内がヒートアップするのは間違いない。成人杯優勝旗を獲得し、凱歌を上げるのはどちらか。
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