【大会の見所】 |
新成人が主催し、新春の幕開けを告げる毎年恒例の大会だ。闘牛ファンおなじみの実力牛、「戦闘荒鷲」対「与那国爆弾」の成人杯をかけた封切特別戦で2015年が開幕。大型牛「豪剣和空大旺」と「平成6・7年生成人同志 絆頂」の大関戦も期待が高まっている。
更に、結びの軽量級優勝旗争奪戦では、無敵のチャンピオン「二代目 関東ルビー」に対し、「コウダ技電ラッキーパンダ」が防衛阻止を目指して挑む。中・軽量級の若手から中堅クラスの対戦が目白押しで、今後の徳之島闘牛界を盛り上げる逸材を見定める意味でも楽しみな大会だ。
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〈軽量級優勝旗争奪戦〉二代目関東ルビーvsコウダ技電ラッキーパンダ |
このクラスNo.1と言える爆弾速攻を武器に3度目の防衛を狙う「二代目 関東ルビー」。沖縄闘牛界において「金功重機白王」として活躍し、6勝1の戦歴を引き下げ徳之島へトレードされ、昨年5月大会で「九紋龍」を下して初陣を飾り、軽量級優勝旗チャレンジャーとして名乗りを上げた。
本年1月大会で王者「優翔大力」に対し、勝利を掴むにはこの方法しかないと言える怒涛の速攻を決めて王座を奪取すると、5月のタイトル戦でも抜群の破壊力を持つ速攻で当原戦士栄号を一蹴し、10月大会において2度目のタイトル防衛を果たした。
対するは、闘牛ファンの絶大なる後押しを受け、悲願の優勝旗奪取を狙う「コウダ技電ラッキーパンダ」。11年5月の大会で「健勝Jr.」、12年10月大会で連勝中の「与那国爆弾」に勝利、昨年5月大会で「亜蛇魔小僧」の連勝を5でストップさせ、軽量級優勝旗に挑戦。当時のチャンピオン「優翔大力」を攻め込みながらも優勝旗獲得はならなかったが、本年5月大会で「天神若虎」に不戦勝し、8月大会は「大進神風」を4分弱で退けて荒技師ぶりを見せつけた。再度訪れた好機を生かし、何としても栄冠を手にしたい。
対戦開始直後のつばぜり合いから、どちらが先に自分得意の体勢に持ち込めるかにかかっている。ツキ・カケ技を見舞いながら隙ができるのを狙うコウダ技電ラッキーパンダに対し、二代目関東ルビーは“伝家の宝刀”とも言える圧倒的な爆弾速攻で、敵を柵に張り付け回り込むことさえ許さないはずだ。
両牛の得意技の応酬で、闘牛ファンの声援もチャンピオンとチャレンジャーに二分され、場内は一気にヒートアップするものと予想される。そこで相手の懐に飛び込めば二代目関東ルビー、横腹を取られることなくツキ技を出し続ければコウダ技電ラッキーパンダが優勝旗獲得に王手をかけるであろう。どちらが勝つにしても流血を帯びた死闘となりそうだ。優勝旗の行方や如何に!
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〈大関戦〉豪剣和空大旺vs平成6・7年生成人同志 絆頂 |
「豪剣和空大旺」は、沖縄で4勝2敗の戦歴を引き下げ、徳之島に移籍。今年6月のトライアスロン記念大会でデビュー後、8月末の大型牛対決を制して現在2連勝中。1,100キロ余りの巨体を生かした角カケからの速攻を得意としている。
対する「平成6・7年生成人同志 絆頂」は、今大会が徳之島デビュー戦。沖縄では2勝2敗の戦歴だが、数か月間隔で名うての実力牛との対戦を余儀なくされた面もあり、新天地での活躍が期待されている、こちらも1トンを上回る大型牛だ。
場所慣れという面では豪剣和空大旺に分があると言えるが、大会を主催する新成人の期待を一身に背負った絆頂も負けるわけにはいかない。落ち着いて得意の角カケからの速攻を決め10分以内で攻めきれれば絆頂が有利であり、時間が経過すればするほど体力で上回る豪剣和空大旺のペースになるものと思われる。この対戦を制してさらな高みを目指したい両牛だけに、迫力あふれる激突を展開してくれるであろう。
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〈2015封切スペシャルマッチ〉戦闘荒鷲vs与那国爆弾 |
戦闘荒鷲は、2012年1月の大会で「青龍」に勝利し初陣を飾ると、同年10月大会に「伐折羅天龍」を退け、13年5月大会はベテラン「富士皇」を10分弱で下し試合巧者ぶりを見せつけた。本年正月大会で「神風王道」に惜敗はしたが、5月大会の復帰戦を制した。デビュー前からタッチュー気味のガン角を生かしたツキ技の巧みさで知られている。
対する「与那国爆弾」も、12年1月の大会がデビュー戦。「戦勝若力」、「古勝 福龍皇」を下した後、「コウダ技電ラッキーパンダ」に敗れはしたが、同年3月の復帰戦を飾ると、5月大会で「鮫島ハチャー」に勝利し、実力牛ぶりを見せつけた。本年1月大会で「当原戦士栄号」の返し速攻により苦汁をなめはしたが、今大会こそ角カケから破壊力抜群の速攻を決め勝敗を決したいものと思われる。
両牛の必殺技は既に闘牛ファンにもお馴染ではあるが、戦闘荒鷲はタッチュー角で敵の攻めを押さえつけ、真眉間にダメージを与えて戦意を奪い、相手が焦れて攻めあぐねるのが狙い目だ。
一方、与那国爆弾は、大きなトガイ角を生かした角カケで一気に攻め込み、勝敗を決したい。前回の轍を踏まないためにも、そのまま相手を柵に張り付け追い打ちを決めねばならない。
闘牛ならではのツキやワリ技、角カケの激しい応酬が展開されそうだ。経験豊富な名牛らしい多彩な技による攻防で、場内をヒートアップさせるのは間違いない。成人記念大会恒例の成人杯優勝旗を獲得するのはどちらか。
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(平成26年12月29日付南海日日新聞に執筆) |