【大会の見所】 |
純新開発キビ生産組合が、組織の設立10周年を記念して企画した大会だ。「白天龍輝号」と「しいじゃトガイ宝也号」のスペシャルマッチは徳之島闘牛ならではのだいご味を堪能できる一戦と言える。NO.1決定戦では、実力牛として評判の高い「富士嵐」が3連勝中の「翔鷹王」にストップをかけるのか、封切戦においては「闘将嵐嵐」が、ベテラン「治野兄弟将龍」の牙城を崩せるか注目されている。
更に、記念大会ということでお楽しみ抽選会も企画されており、正月から家族連れで楽しめるイベントになりそうだ。
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〈スペシャルマッチ〉白天龍輝号vsしいじゃトガイ宝也号 |
「白天龍輝号」は、本年正月元旦の大会で「政岡白天龍」として徳之島デビュー、「面縄成人同志(福島牛)」と20分で引分けとしたが、5月の伊仙大会は大雨の中で泥だらけになりながら、20分余りの激戦の末に「輝龍」に勝利。角カケからの速攻で仕留める破壊力に定評ある実力牛だ。
対する「しいじゃトガイ宝也号」は、本年1月4日大会でデビューし2連勝中の「龍瑛」と対戦。落ち着いた取り口で、ツキ技から速攻を決め、見事4分弱で勝ち星を掴んだ。勝機を見逃さぬ集中力の高さと、技の切れを見せ付けている。
白天龍輝号としては、これまでの取り組みと同様に、じっくりと腰を据え10分台の中期戦で相手を仕留めたいものと思われる。
一方のしいじゃトガイ宝也号は、序盤から得意のツキ技を繰り出しながらどんどん前に出たいところ。少しでも付け入る隙を与えること無く攻め続ければ、一気に勝利到来となるであろう。
安定度の高さで白天龍輝号が相手を退けるか、しいじゃトガイ宝也号が敵のペースになる前に得意技を決め切れるか。中・軽量クラスで益々の活躍が期待される両牛であり、ファイト溢れる攻防と技の駆け引きに注目が集まる。
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〈NO.1決定戦〉翔鷹王vs富士嵐 |
「翔鷹王」は、2012年7月大会のデビュー戦で「大優真撃」に勝利。本年1月大会に「真翔剛荒虎号」を11分弱で下し敢闘賞を受賞、5月大会では「虎Rickey」戦を19分で制し、もっか3連勝中だ。
対する「富士嵐」は、13年1月大会で「角大将」に7分弱で勝利し、技能賞を獲得しデビュー戦を飾って以来の出場。徳之島産の5歳半牛で、これから益々脂の乗って来る時期だ。
ツキ技で相手を怯ませ、速攻を見舞いたい富士嵐。一方の翔鷹王はツキ技・角カケを得意とするだけに、自ら得意の戦法にどちらが先に持ち込めるかがポイントだ。互いにツキ技の応酬から、隙を見計らい一気呵成の速攻を目指す富士嵐に対し、角カケで相手の前進を止めて切り返し速攻を狙う翔鷹王という、迫力溢れる両牛の両牛の攻防が繰り広げられそうだ。
場内ではラッパや太鼓、応援団の歓声が鳴り響き、軽量級ならではのファイトあふれる熱戦に包まれるであろう。どちらが勝ち星を伸ばすか、激闘必至の対戦だ。
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〈封切特番戦〉治野兄弟将龍 vs闘将嵐嵐 |
「治野兄弟将龍」は、2010年5月大会のデビューから同年10月大会まで、「福龍」「馬根青年団仁龍」として出場し3連勝したものの、11年1月大会は30分を上回る長期戦の末に「岩竜パンダ」に惜敗。続く8月大会で「闘将闘龍武誠」に敗れ厳しい状態となったが、同年9月大会において「西阿木名青年団」に復活勝利を掴んだ。
12年1月と5月にも勝ち星を重ね、昨年10月大会では「黄金隼」に27分の長期戦を制して敢闘賞を獲得し、本年5月大会でミニ軽量級王座に挑戦。悲願の優勝旗奪取は果たせなかったが、チャンピオン「闘将☆マングース」の鋭利な角で顔面を鮮血に染めながら20分半あまり闘い続けた一戦は、記憶にも新しい。
対する「闘将嵐嵐」は、昨年11月大会のデビュー戦で「真優葉」、本年8月大会では「与那国天龍上村号」と連敗したが、9月大会は「突撃宇瑠璃虎太郎」を10分弱で下し、崖っ淵から脱出を果たした。ここは何としてもベテランを倒し、さらなる活躍を目指したいものと思われる。
キャリア十分で修羅場をくぐり抜けて来た治野兄弟将龍だけに、落ち着いて技を受け流せば、敵は軍門に降ることになるであろう。そうなる前に一気の速攻を決め、守りを得意とする相手の牙城を崩せば、闘将嵐嵐にもチャンスが到来する。封切特番戦ならではのスピーディーな攻防が、場内一杯に繰り広げられるはずだ。
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(平成26年12月29日付南海日日新聞に執筆) |