【大会の見所】
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大会のタイトル通り、軽量から中量級の将来有望な若手牛が多く出場する大会だ。「真伸トガイ」対「タキネケイタ」の封切戦から、700kgの小型牛ならではのスピーディーな攻防を繰り広げゴールデンウイーク闘牛大会の開幕を飾ってくれるだろう。沖縄の軽量級クラスで活躍し徳之島に移籍後、連勝中の「鮫島ハチャー」に対し、本年3月場所で復帰戦を飾った「与那国爆弾」の指名特別戦。「福島牛」の連勝阻止に果敢に挑む「拓真嵐白山号」の特別番組。大型牛対決の「牛若丸」対「花榎心大王」の大壱番戦は、その実力を如何なく発揮し激闘を展開してくれるだろう。
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〈大壱番戦〉牛若丸vs花榎心大王 |
「牛若丸」は、2012年8月の大会で「朝戸花形」を0分26秒で退け初陣を飾った。八重山産の6歳牛で、角カケからの速攻を得意としている。
対する「花榎心大王」は、今大会がデビュー戦。岩手県産の5歳牛で、相手の攻めを凌ぎながら徐々に自分のペースに持ち込むタイプだ。
牛若丸としては、短期戦で勝敗を決したいところ。角カケで敵の首を捻じ曲げてぐいぐいと押し込み、間髪いれず速攻を決めたい。対する花榎心大王としては、短めのガン角を有効に使い、角カケを外すと同時に相手の顔面にツキ・ワリ技を見舞いダメージを与えることができれば、有利な展開となる。
5分以内の短期戦なら牛若丸のペースと思われ、10分・15分と時間が経過するほど花榎心大王の武器(角)が効果を発揮して行くものと予想される。大型牛が砂煙を上げて激突する、闘牛ならではの迫力あふれる攻防を繰り広げるはずだ。GW闘牛大会開幕の結びの一番に相応しい見ごたえたっぷりの熱戦に期待したい。
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〈指名特別戦〉鮫島ハチャーvs与那国爆弾 |
「鮫島ハチャー」は、沖縄で「辺土名ハチャー」として活躍。2009年9月の大会で「南西マムシ」に25秒で勝利しデビュー戦を飾ると、翌年から11年3月の大会まで無傷の5連勝として、軽量級チャンピオンへのチャレンジャーに躍り出た。同年8月の夏の全島闘牛大会で「成龍号」と激突。両牛一歩も引かない激戦を繰り広げ会場をヒートアップさせたものの、17分余りで惜敗した。12年1月の旧正月全島大会では、現沖縄軽量級王座として君臨する「闘将☆メカ」と15分を上回る激戦を展開、復帰戦を飾るには至らなかったがその実力牛ぶりを評価した現オーナー・鮫島敏夫氏が購入し、同年5月の大会で徳之島初場所を飾った。同年8月大会で「川津辺カブラー」に4秒で勝利し、トータルで7勝2敗の戦歴を誇る、ツキ技からの速攻を得意とする荒技牛だ。
対する「与那国爆弾」は、12年1月の大会でデビュー。「戦勝若力」に6分35秒で勝利し敢闘賞を受賞。同年8月の大会ではベテラン「古勝 福龍皇」に対し、武器を生かした角カケで自分のペースに持ち込み、4分12秒で技能賞を獲得した。続く10月の大会で、「コウダ技電ラッキーパンダ」を得意の角カケで押し込むことができず惜敗。しかし、本年3月の復帰戦では相手に戦意が無く不戦勝ではあったが、実力牛ぶりは健在でトータル3勝1敗の戦歴を誇る。
得意のツキ技でガンガン攻め込み、前に出たい鮫島ハチャー。デビューからの5連勝は全て8分以内で勝利しており、できるだけ短期戦で敵を仕留めたいはずだ。対する与那国爆弾は、大きなトガイ角を生かした角カケで相手得意のツキ技を封じ勝機を掴みたい。
経験豊富な中堅クラス牛ならではのツキやワリ技、角カケの応酬による激闘が展開されそうだ。相反する技の応酬による攻防で場内をヒートアップさせるのは間違いない。勝負が決するまで目の離せない一戦だ。
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〈特別番組戦〉福島牛vs拓真嵐白山号 |
「福島牛」は、記憶にも新しい2012年11月の大会で「新岩見崎」に16分09秒で勝利しデビュー戦を飾ると、本年3月の大会で「山昇大海」を10分45秒で下し、殊勲賞を獲得して2連勝とした。
一方の「拓真嵐白山号」は、今回がデビュー戦。沖縄本島産の5歳牛で、ワリ技で相手を怯ませ角カケに入る巧みさにすこぶる評価が高い。
福島牛は、連勝の勢いそのまま一気に決着を付けたいところだ。角の長さの違いを生かしたワリ技をあいさつ代わりに見舞い、角カケでぐいぐい前に出て柵に詰まったところで間髪いれず腹取りを決め、敵を敗走させようとするだろう。
対する拓真嵐白山号は、初陣とは言え場所慣らしも十分で体躯も充実している。相手が得意とするカケからの速攻を回り込みながら残し、形勢逆転を狙うはずだ。下角を取ってカケ返し、懐に飛び込み勝負ありとしたい。
本場所経験では福島牛が上ではあるが、両牛とも角カケを決め技としているだけに、首力と勝利に対する執念が勝敗の行方を左右する。勝利の舞を披露できるのはどちらか。
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(平成25年4月28日付南海日日新聞に執筆) |