【大会の見所】
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徳之島闘牛界の将来を担うと思われる若手牛が多く出場する大会だ。中でも、「大進ゴールド」対「仲興業戦闘チッパーズ」の封切特別戦、「角太将」対「圭史超丸」の若手牛対決。沖縄で「金功重機白王」として活躍し軽量級王座への挑戦経験もあり、6勝1敗の戦歴を誇る「二代目関東ルビー」の徳之島初場所を、ベテラン「九紋龍」が如何に迎え撃つかも注目されている。
1トンクラスの大型牛が出場する「共同通運1号」対「天神丸」、「31立神会 爆進大地」対「闘将無芸」の対戦は、迫力あふれる攻防が繰り広げられるだろう。実力牛同士の「福田環境天空龍」対「大進神風」の小結戦と続き、無敗の連勝牛が激突する「亜蛇魔小僧」対「コウダ技電ラッキーパンダ」の横綱戦はファンならずとも見逃せない一戦だ。
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〈横綱戦〉亜蛇魔小僧vsコウダ技電ラッキーパンダ |
「亜蛇魔小僧」は、2011年1月の大会で「黄色い運転代行号」に12分余りで勝ちデビュー戦を飾り、8月の大会では「刃牙」に1分半で勝利。同年10月の大会で「沖永良部嵐」に不戦勝し勝ち星を3勝に伸ばすと、12年1月の大会で3連勝中の「極心トガイ帆船花」と激突。11分余りで連勝牛対決を制し、実力の程を見せつけた。ツキからの速攻を得意とし、同年10月の大会では「拓美光龍」を4分半で下して、現在5連勝中と波に乗っている。
対する「コウダ技電ラッキーパンダ」は、11年5月の大会で若手No.1対決として「健勝Jr.」との封切特別戦に出場。相手得意の速攻で一旦は柵際に攻め込まれるも、回り込むと得意のツキ技で相手の戦意を奪い6分30秒で制し、実力牛ぶりを見せつけた。12年10月の大会で連勝中の「与那国爆弾」と対戦。相手が得意とする技を封じて攻め続け、11分50秒で勝利、ガン角を生かした角ツキでどんどん前に出て、敵の顔面や眉間を血祭りに上げるのが必勝パターンだ。
年齢、体重とも大差ない両牛の対戦だけに激戦は必至だ。得意のマキ突きでガンガン前に出て攻め込みたいラッキーパンダ。対する亜蛇魔小僧は、角カケで相手の首を捻じ曲げツキ技を封じ、じわじわと前に出て勝機を掴みたい。対戦開始直後のつばぜり合いから、どちらが先に自分得意の体勢に持ち込めるかにかかっている。
闘牛ファンの予想も割れており、GW期間中の全島場所の中でも大いに注目されている。ツキ技と角カケの相反する技を得意としているだけに、首力と勝利に対する執念が勝敗の行方を左右するであろう。激戦必至の大一番だ。
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〈指名特別戦〉福田環境天空龍vs大進神風 |
「福田環境天空龍」は、「あたりパンダ」として2009年1月の大会で「黒鬼」に16秒で勝利し、同年5月の大会では「ムサシパンダ」を15分50秒で退け2連勝とした。「鶴田原パンダ」として出場した、10年9月と11年1月の大会も制して4連勝に勝ち星を伸ばし、現在のオーナーへトレード。12年1月の大会では、2連勝中で勢いに乗る「明笑莉夢神」を13分56秒の激闘の末に退け、5連勝目を飾った。本年1月の大会で「清剣」に敗れ初黒星を喫したが、カケ・ツキ技からの繰り出す速攻の切れ味は健在だ。
対する「大進神風」は、10年9月大会のデビュー戦対決で「混目ヒーゲー」に1分36で勝利。11年1月の大会では「柊斗赤猿」と対戦。相手の武器を生かしたツキ・ワリ技に苦しめられ12分弱で惜敗したが、同年5月の大会で「嶺山号」の隙を見逃さず速攻を決め11分弱で復帰戦を飾ると、同年8月の大会では「昭和50年生同志号」に6分38秒で勝利し技能賞を獲得、3勝1敗の戦歴を誇る。
キャリアで上回る福田環境天空龍は、相手の出方を見ながら徐々にエンジンを掛けて攻勢に転じて行くはずだ。一方の大進神風は、敵が仕掛けて来るのを待つだけの余裕があれば勝機が見えてくる。相手が攻めあぐね焦りが生じれば一気呵成に攻め立てるだろう。
両牛の激しい攻防で人牛一体となった熱戦が繰り広げられ、応援団の声援が場内に響き渡り場内がヒートアップするのは間違いない。
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〈封切特別戦〉大進ゴールドvs仲興業戦闘チッパーズ |
「大進ゴールド」は、「喫茶ゴールド」や「関西エステート」の名で徳之島闘牛界において一世を風びし、軽量級チャンピオンとして一時代を築いた名牛の血統。2012年11月の初陣で「一撃ハッチャー」に6分38秒で勝利すると、本年1月の大会でベテラン牛「パンダファミリー白竜皇」を4分21秒で下し殊勲賞を獲得しており、若手実力牛として注目されている一頭だ。
対する「仲興業戦闘チッパーズ」は、八重山産の4歳半牛。徳之島町北部(東天城地区)でも最も闘牛が盛んな花徳集落で鍛えられており、ツキ技を得意として稽古相手を退け、その実力牛ぶりは高く評価されている。
本場所経験済みの大進ゴールドは、先ず相手の出方を見るだろう。先に仕掛けてくれば願ったりであり、カウンター気味にツキ技を見舞いながら敵の攻め疲れを見計らい、左右からの角カケでぐいぐいと前に出て腹取りを決めたい。
一方の、仲興業戦闘チッパーズは前評判通りのツキ、ワリ技でガンガン攻めたい。相手に攻め込む隙を見せること無く得意技を出し続ければ、どのような敵でも軍門に下せる。若牛は、本場所では稽古で見せたような技を出せない場合もある一方、牛主も驚くような闘いぶりを披露する場面もある。持てる技を発揮し、勝利を掴むのはどちらか。
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(平成25年4月28日付南海日日新聞に執筆) |