【大会の見所】 |
封切特別戦の「龍馬」対「枦谷リサイクル従業員号」の将来有望な若牛の激突で開幕し、軽量級から中量級の若手牛が多く出場する大会となっている。連勝牛同士の対戦である「誠天隆愛ちゃん」と「大嗣龍」の指名特別戦は、攻守の入れ替えが激しい熱戦が展開されそうだ。本年1月大会で中量級優勝旗を獲得した「邁進龍」の優勝旗返納に伴い、4連勝中の「拓真嵐白山号」と2連勝中の「しいじゃトガイ宝也号」が新王者を目指して対決し、今ゴールデンウイーク大会の千秋楽を向かえる。
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〈中量級優勝旗争奪戦〉「拓真嵐白山号」vs「しいじゃトガイ宝也号」 |
「拓真嵐白山」は、2013年5月のナイター大会で、2連勝中の「福島牛」と対戦。33分を上回る激戦の末に勝利し、敢闘賞を獲得するともに根性の強さを見せつけた。14年1月大会は「大幸」を35分08秒の長期戦の上に制し、成人杯優勝旗を獲得。同年8月大会で「なんくるナイサー」を3分24秒で敗走させ、本年1月の全島大会において「北天勝狼」を36秒で退け、現在4連勝中である。
「しいじゃトガイ宝也号」は14年1月4日大会でデビューし、2連勝中の「龍瑛」と対戦。ツキ技から速攻を決め、3分47秒で勝ち星を掴み技能賞を受賞。本年1月4日の結びの一番で「白天龍輝号」を15分55で下し、勝機を見逃さぬ集中力の高さと技の切れを見せ付けた。
対戦開始と同時にツキ・ワリ技の応酬から、得意の角カケに入りたい拓真嵐白山号。そのまま一気呵成に攻め込み、相手を柵に張り付け勝負ありとしたい。カケ技を外されたらツキ・ワリ技を見舞い、敵の焦りを誘えば願ったり叶ったりだ。
一方のしいじゃトガイ宝也号は、序盤から得意のツキ技を繰り出しながらどんどん前に出たい。少しでも敵に付け入る隙を与えること無く攻め続ければ、一気に勝利到来となるであろう。
対戦開始から目の離せない攻防が展開され、リングを目いっぱい使った腹の取り合いとなるのは間違いなく、敵の隙を見つけ一気に懐に飛び込んだ方に勝利の凱歌が上がるはずだ。優勝旗を手に祝杯に酔いしれるのはどちらか。
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〈封切特別戦〉「龍馬」vs「枦谷リサイクル従業員号」 |
「龍馬」は、本年1月大会で「美龍」に5分58秒で勝利しデビュー戦を飾った。沖縄県久米島の前盛牧場の生まれ。年齢は4歳半で体重は700kg台後半。ツキ・カケ・速攻の3拍子が揃い、伸び盛りの若手牛だ。
「枦谷リサイクル従業員号」も、龍馬と同一大会の封切戦でデビュー。「前心 丹向橋牛」として出場し、「fighting大吉」との24分07秒の長期戦を制し実力牛ぶりを見せつけた。地元の名牛に鍛えられた速攻の切れ味は逸品で、闘争心の強さが持ち味である。
派手な攻めで圧倒してくる枦谷リサイクル従業員号に対し、龍馬が上手く凌げるかにかかっている。対戦開始早々、あいさつ代わりのワリ技から角カケに入り、一気に柵に押し込めば枦谷リサイクル従業員号のペース。
一方の龍馬は、柵際で上手く回り込みながら、土俵中央に持ち込みツキ・ワリ技を繰り出し、相手に攻め疲れが出るのを待つことができれば、勝機が見えてくる。あっという間の短期戦で決するか、見ごたえ十分な長期戦になだれ込むか。封切戦ならではの激戦が期待される。
全島大会の封切戦独特の雰囲気に呑まれること無く、自らのペースに持ち込めば勝機が到来し、浮足立った方が負けだ。目の前の敵を倒すという集中力を保ち続けた方が、連勝街道を目指せるであろう。封切対戦を制し、勝利の美酒に酔えるのはどちらか。
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(平成27年4月25日付南海日日新聞に執筆) |