【大会の見所】
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今ゴールデンウイークシリーズの最終日となる大会は、本場所を経験済みの軽量級から中量級の若手牛が多く出場する大会である。中でも軽量級の実力牛同士の対戦となった横綱戦。突き技で見事なデビューを飾った将天山に初場所ながら有望牛と評判の大魔王が挑む指名特別戦が注目される。また、角掛けからの速攻で三連勝中のがじゅまるに、初場所ながら大勝龍が対戦する大型牛対決にも期待したい。
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〈横綱戦〉哲巳大力vsS54 黄金丸 |
両牛とも軽量級トップクラスの実力牛だけに、闘牛ファンには既にお馴染みであろう。元軽量級チャンピオンの哲巳大力は沖縄でビュー戦を飾り徳之島に移籍、二連勝し三戦目で軽量級の優勝旗を獲得。その後も順調に勝星を重ね、一昨年10月の大会までタイトルの防衛に成功するも、昨年正月大会諸事情で優勝旗を返納。無冠にはなったが、昨年5月の大会では25分を超える長期戦を制しもっか9連勝中。
対するS54黄金丸は、軽量級チャンピオンとして活躍した当産業ヒラの産仔として当地で生を受けた。デビュー戦は対戦相手の予想以上の奮闘に攻めきれず惜敗したが、その後は着実に勝星を重ね土付かずの6連勝。左右からの角掛けで相手の技を封じ、腹取りに転じるのを得意として、短期戦から長期戦までこなす実力牛である。
相手のマキ(眉間)を捉えるトガイ角を生かし、突き技で攻めたてたいのが哲巳大力。適度な距離を保てば、相手が動く分だけ顔面にダメージを受けスタミナを消耗する。対するS54黄金丸としては、得意の角掛けでがっちり相手を捕まえ、突き技を凌いで逆に相手の体力を奪いたいところだ。どちらが自分の間合いで戦えるかが、勝敗のポイントになってくるであろう。同クラスの名だたる牛と対戦し、修羅場をくぐり抜けてきた両牛だけに、ゴールデンウイーク大会の千秋楽に相応しい激戦が展開されるであろう。
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〈指名特別戦〉将天山vs大魔王 |
昨年10月の大会で見事なデビュー戦を飾った将天山。速攻を得意として攻めて来る相手に対し、回りこみながらも巧みに角を当てつづけ、相手が怯むとすかさずの速攻で技能賞を獲得する勝利を掴んだ。
対する大魔王は今回がデビュー戦だが、稽古での前評判が高く指名特別戦にランク付けされた。どのような相手でも対戦開始から全開、左右からの角掛で相手の体制を崩し一気の腹取りに持っていくのを得意としている。
何としても勝星を掴みたい両牛、それぞれの得意技で勝負を決めたいところだ。前場所同様、ツキ技からの速攻が見事決まれば将天山。角掛けから一気の腹取りに転じれば、大魔王という展開。本場所ならではの独特の雰囲気の中で、それぞれの実力を発揮しきれるかに掛かっている。技と技の攻防に場内が沸く熱戦が期待される。
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〔上記内容は、南海日日新聞「闘牛特集」(平成17年4月27日付)紙面に寄稿した文章です。〕 |