新成人が主催し、新春の幕開けを告げる毎年恒例の大会だ。大型の若手実力牛同士が対戦する「紀乃工業号」対「牛若丸牧山号」の横綱戦は、全島一横綱チャレンジャー候補決定戦とも言え、大いに期待が高まっている。

また、優勝旗を持ち回りせず、大会の冠戦とし勝利牛が栄誉を獲得する成人杯では、中・軽量級クラスでの活躍が嘱望される「拓真嵐白山」と「大幸」が激突。新春大会の開幕を飾る封切戦では、連戦連勝で人気上昇中の「中兄弟蓮希」が、しぶとさで定評のある「闘魂夢羅咲来」が対戦する。中・軽量クラスの若手牛が多く出場し、2014年の徳之島闘牛界を盛り上げる闘牛を見定める意味でも楽しみな大会だ。

「紀乃工業号」は、２０１１年５月大会がデビュー戦。「闘輝会RYO」、「小林兄弟九頭隆」「関西ライン玄」を、２〜11分台で下し、３連勝と勢いに乗っている。

対する「牛若丸牧山号」は、12年8月大会で「朝戸花形」を退け初陣を飾った。本年５月大会で「花榎心大王」に勝利した一戦は記憶にも新しく、こちらも２連勝と上げ調子だ。

両牛とも角カケからの速攻を得意としているだけに、首力の差が勝敗を左右するであろう。牛若丸牧山号としては、相手が角カケを外そうとしたところで間髪いれず下からすくい上げ、一気に柵まで突っ走りたい。そのまま追い打ちを決めれば、勝負ありだ。

一方の紀乃工業号は、角カケで敵の首を捻じ曲げてぐいぐいと押し込み、相手得意の速攻を封じたい。角カケを外すと同時に敵顔面にツキ・ワリ技を見舞い、ダメージを与えることができれば、有利な展開となる。

パワー・体力とも大差ない両牛だけに、一瞬の隙が勝敗を決する10分以内の短期戦となる事が見込まれる。１トンを上回る大型牛の激突に、場内はヒートアップするであろう。

「拓真嵐白山」は、本年５月２日のナイター大会で、２連勝中の「福島牛」と対戦。30分を上回る長期戦の末に勝利し、敢闘賞を獲得するともに評価を高めた。ワリ技で相手を怯ませ、角カケに入るのを得意としている。

一方の「大幸」は、本年１月１日大会のデビュー戦こそ取りこぼしたが、続く５月４日大会で連勝中の「怒南竜勝斗」に12分余りで勝利し、殊勲賞を獲得。角カケからの腹取り速攻の切れは抜群だ。

益々の成長が楽しみな両牛だけに、ここで勝敗を決するのはもったいないが、致し方ないところ。序盤は互いに相手の出方を見ながら、徐々にエンジンをかけて行く展開になるであろう。拓真嵐白山のワリ技がクリーンヒットし、相手の焦りを誘えば願ったり叶ったりだ。対する大幸は、角カケでツキ・ワリ技を防ぎ、徐々に敵のスタミナを奪いたい。両牛はもちろん、両牛のオーナーとしても何としても勝利し、新成人の祝いに華を添えたいはずだ。牛主の熱き思いに応え、栄えある優勝旗を奪取するのはどちらか。

「中兄弟蓮希」は、本年５月大会で、「戦艦ピコ猿」に14分余り勝利し敢闘賞を獲得。続く10月大会で、「だだ吉福ちゃん」との封切戦を制し、荒技牛ぶりを見せつけた。闘争心の強さが持ち味で、ツキ技を容赦なく見舞って相手にダメージを与え勝機を掴む。

対する「闘魂夢羅咲来」は、本年１月大会で「中和広号」と30分を上回る長期戦の末に引分けており、粘りと根性に定評があるともに、カケ・ツキからの速攻を本分としている。

闘いの派手さで圧倒してくる中兄弟蓮希の攻めを、闘魂夢羅咲来がどこまで凌げるかにかかっている。対戦開始早々、あいさつ代わりのワリ技から角カケに入り、一気に柵に押し込めば中兄弟蓮希。

一方、柵際で上手く回り込みながら、相手に攻め疲れが出るのを待つ戦法に出ることができれば、闘魂夢羅咲来に勝機が見えてくる。あっという間の短期戦で決するか、見ごたえ十分な長期戦になだれ込むか。封切戦ならではの激闘を期待したい。